生存政略
FIREを目指すうえで、まず必要なのは「どれくらいの資産を築きたいのか」という明確な目標を決めることだ。 この“ゴール設定”を曖昧にしたままでは、どれだけ努力しても道に迷ってしまう。
株式投資を始めたのは十数年前。 当時は、流行していた『金持ち父さん貧乏父さん』を読み、なんとなく「投資をしていれば、いつか金持ちになれるだろう」と楽観的に考えていた。 20代の自分は、まだまだ考え方も甘く、毎日の値動きに一喜一憂し、流行り銘柄をいじっては資産を減らす──そんなことを繰り返していた。
楽して金持ちになりたいという気持ちがあると、つい近道を探してしまう。 そしてその近道は、たいてい遠回りである。
あれから十数年。 資産はほとんど増えていない。 むしろ、同世代の平均貯蓄額にも届いていない状況だ。
それでも、市場から振り落とされずにしがみついてきた。 「金持ちになりたい」「FIREを達成したい」という気持ちだけは、あの頃から変わらない。
残された時間を考えると、もう大きな失敗はできない。 同じ轍を踏まないためにも、ここで一度、絶対に守るべきルールを自分に刻み直す必要がある。
次に掲げる規則は、これからの資産形成において“必ず守るべき指針”だ。 これを徹底することが、遠回りしてきた自分が再び前に進むための第一歩になる。
(14年の経験から絞り出した“生存戦略”)
① 仕手株は絶対に触らない
仕手株は、投資家の欲望を刺激する“甘い罠”だ。 材料が出た瞬間に急騰し、2回、3回とストップ高を繰り返す。 画面の数字が一気に跳ね上がるあの瞬間── 「今度こそ資産が一気に増えるかもしれない」 そんな期待が頭を支配する。
はまれば一撃で資産が増える、その可能性に魅了されて。
しかし現実は残酷だった。 上げが大きい銘柄は、下げもまた大きい。 ジェットコースターのような値動きに精神が耐えられず、 結局は恐怖に負けてマイナスで売却する──これを何度繰り返しただろう。
仕手株は 「負ける人が大量に出ることで成り立つゲーム」だ。
残り少ないFIREを目指すアラフォー投資家にとって、 こんな不安定なギャンブルから卒業しなくてはならない。
② レバレッジ+フルポジは厳禁
レバレッジをかけてフルポジションを取る。
運よく相場が上向けば、 資産は一気に増える。 期待に胸が高鳴る。
しかし、レバレッジの本質は「借金する行為」。 予期せぬ市場の変化が起きた瞬間、一瞬で大きな失敗へとつながる。
万が一、期待するポジションとは逆に動いた場合には、気持ちが一気に落ち着かなくなる。「あと少し戻れば助かる」 「ここで切ったら負けだ」 そんな甘い期待を抱いたまま、 気づけば退場寸前まで追い込まれる。
レバレッジは、 ルールを守って使うべきだ。 フルポジは禁止。アラフィルが見えている今、もう一発退場は許されない。
FIREを目指すなら、“生き残ること”が最優先だ。
③ ミスターマーケットに翻弄されない
市場は気まぐれだ。 昨日の強気は今日の弱気に変わり、好材料が出ても株価は下がり、悪材料が出ても株価は上がる。
14年の間、この“ミスターマーケット”の気まぐれに何度も振り回されてきた。
名著『敗者のゲーム』が教えてくれる真理はひとつ。
市場に勝とうとするな。市場に振り回されない仕組みを作れ。
短期の値動きに心を乱されるほど、判断はブレ、売買は雑になり、結果的に資産は減っていく。
今やるべきことは、ミスターマーケットの気まぐれを“受け流す力”を身につけること。
そのために必要なのは、
「自分の投資ルールを守る」
「感情で売買しない」
「長期の視点を忘れない」
この3つだけでいい。
市場は何度も試してくる。 しかし、翻弄されなければ負けない。
